『鬼滅の刃 外伝』は2020年12月4日に発売された
鬼滅の刃公式スピンオフ作品です。
『冨岡義勇外伝』と『煉獄杏寿郎外伝』が掲載されていますが、
この記事では『煉獄杏寿郎外伝』についてのあらすじや感想(ネタバレ含む)をご紹介します。
杏寿郎が『柱』となる前のお話になります。
どのような経緯で『炎柱』となったのか。
どのような思いで戦っていたのか。
そんな一面が覗ける作品になっています。
鬼滅の刃 煉獄杏寿郎外伝 単行本のあらすじとネタバレ
鬼殺隊士として杏寿郎は今日も打ち込み稽古に励んでいました。
相手は弟子である甘露寺蜜璃。
近い将来『恋柱』になる彼女もこの頃の階級は『癸(みずのと)』でした。
杏寿郎の熱心な指導についていくのがやっとの蜜璃。
お腹が空きすぎてダウン寸前だったのです。
そこへ杏寿郎の弟、千寿郎がお菓子の差し入れに。
甘味休憩を取る最中、杏寿郎は鬼殺隊士になったお祝いとして蜜璃へ羽織をプレゼントします。
「これからは師弟ではなく仲間として共に歩み頑張っていこう!」
杏寿郎の激励に蜜璃は感激して胸を熱くするのでした。
そんな中、カラスから伝令が入ります。
『炎柱』である杏寿郎の父へ柱合会議の招集命令でした。
父の元へ伝えに行きますが、床についたまま耳をかしてもくれません。
「行きたければお前が行け」
「俺にはどうでもいい」
父の投げやりな言葉を聞きながら部屋に飾られている羽織を見つめる杏寿郎。
いつの日か母が話してくれた炎柱のみがまとうことを許されている羽織――。
「貴方も父上のような立派な炎柱になるのです」
何もかも投げやりな父親を目の前に、杏寿郎は母の言葉を思い出していました。
* * * * * * * * * *
結局、柱合会議には父・槇寿郎の代わりに杏寿郎が参加することに。
柱ではない杏寿郎の参加に不穏な空気が流れる中、槇寿郎の様子をお館様に報告するのでした。
槇寿郎の引退を推す声も上がる中、杏寿郎は
「俺も炎柱になれば父上もきっとやる気を取り戻してくれるでしょう!」
と高らかに宣言します。
それを聞いた実弥は杏寿郎の腕前を試すべく突然襲い掛かります。
「オラァどうした」
「やり返してこいやァ!」
杏寿郎は実弥の攻撃をすべて防御し、
「隊員同士の喧嘩はご法度だぞ!」
「そもそも人を殴ってはいけない!」
と、超ド正論で返すのでした。
その様子を見守っていたお館様は杏寿郎に
「柱になるための条件 君ならよく知ってるね」
と声をかけました。
十二鬼月を倒すこと――
お館様は帝都付近に出没した十二鬼月の可能性が高い鬼の討伐を杏寿郎に命じたのです。
「君の実力を示しておいで、杏寿郎」
その命に杏寿郎は力強く応えるのでした。
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鬼討伐任務の為、蜜璃をはじめ他隊員と帝都に着いた杏寿郎。
そんな中、蜜璃は街中をはしゃいでいた男の子とぶつかり
「だ…大丈夫?」
と声をかけますが、転んだ男の子は泣き出してしまいます。
すると現れた母親が蜜璃の髪の色と刀を見るなり人攫いだと騒ぎ始めますが、杏寿郎が状況を説明しその場は収まります。
蜜璃は見た目のことを言われたのが初めてではありません。
「その髪色といい君を迎えたい男なんて一生現れやしないだろう」
以前見合い相手に言われた言葉がずっと頭の中をめぐっていました。
蜜璃の様子に気づいた杏寿郎は
「見た目など些末な問題だ!気に病む必要はない!」
と蜜璃を優しく励ますのでした。
そして任務に戻ろうとした時、街中のあちこちで建物が爆発。
救助に向かおうとした蜜璃の顔をかすめた銃弾の先には『下弐』の文字が瞳に刻まれた鬼がいたのです。
素早く位置を察知した杏寿郎は鬼と対峙。
不敵な笑みを浮かべた鬼は、
「全てはこの日の為に」
「煉獄、貴様に復讐する為に…!」
と杏寿郎に対し、敵意をあらわにします。
しかし初対面の杏寿郎は
「誰だお前は」
と冷たく言い放ちます。
この鬼は以前杏寿郎の父・槇寿郎に深手を負わされて以来、ずっと復讐の機会をうかがってきたのです。
何年も力を蓄え続け、十二鬼月となるまでに。
息子である杏寿郎を槇寿郎と勘違いしたまま鬼は攻撃を仕掛けてきます。
戦いの中、傷を負いながらも、
「鬼から人を守る為に戦う、それが鬼殺隊だ!」
「俺は俺の責務を全うする!」
己を鼓舞し、鬼に食い掛る杏寿郎。
そして帝都中に鬼が仕掛けた爆弾の解除を蜜璃に命じます。
いつか母と約束した。
弱き人を助けると。
心に太陽のような炎を宿した炎柱になると。
「来い!お前の怨恨ごと俺が斬り伏せる!」
そう言い放ち、杏寿郎は血鬼術を操る鬼に立ち向かうのでした。
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一方、杏寿郎から爆弾の解除を指令され、帝都内を確認していた蜜璃。
発見した爆弾を処理しようとしていたところ、鬼の血鬼術である“影狼”相手に苦戦を強いられます。
教えてもらった炎の呼吸もうまくできない…
鬼殺隊も私の居場所ではないの…?
そんな考えが頭をよぎる中、影狼に襲われる市民の叫び声が。
それはつい先ほど蜜璃にぶつかってきた男の子とその母親でした。
親子を助けるため本来持っていた力を発揮する蜜璃。
やわらかく、しなやかに。もっと自分らしく。
燃えるような恋心を、剣に。
戦いの最中、蜜璃はようやく自分に合った呼吸を見つけ、影狼を倒すことに成功しました。
そして助けた親子から「ありがとう」の言葉をもらいます。
ありのままの自分を認めてもらえたことに涙し、一歩前へ進めたことを嬉しく思う蜜璃でした。
* * * * * * * * * *
十二鬼月と杏寿郎との戦いは続いていました。
鬼が発する銃弾を浴び何度も爆発に巻き込まれながらも杏寿郎は倒れません。
持っていた銃がすべて弾切れ。
他に武器はないかと探す鬼の目に刃こぼれでボロボロの刀が映りました。
刀を目にした鬼に人間の頃の記憶がよみがえります。
「惨めだなぁ」
「武士道だのいつまでも時代遅れな」
刀から銃へと変わりゆく時代の流れの中で葛藤する思いがあったのかもしれません。
鬼は刀を手に取り、
「ここからは一人の武士として貴様を殺す」
と杏寿郎に真剣勝負を挑みました。
「貴様の剣では俺の血鬼術は破れない――死ね!」
ところが杏寿郎の放つ激しい剣技に押され激しくぶつかり合う刀と刀。
杏寿郎を倒せると慢心していた鬼は炎の斬撃に戸惑いを隠せません。
それは全身全霊、命ごと浴びせる渾身の斬撃。
燃やせ!燃やせ!
心を燃やせ!
そして放たれた一撃。
炎の呼吸 奥義 玖の型 煉獄―――
その一撃を喰らった鬼は
「…いい太刀筋だ」
とつぶやき、灰となって散っていったのです。
十二鬼月との戦いはこうして幕を閉じました。
鬼滅の刃外伝 単行本の内容あらすじ・考察
この戦いの後ふたたび柱合会議が開かれ、杏寿郎はお館様からねぎらいの言葉をもらいます。
「これからは柱として鬼殺隊を支えてくれるかい?」
杏寿郎は声高らかに
「はい!!」
と答え、ここに炎柱・煉獄杏寿郎が誕生したのです。
柱として多くの鬼を滅してきた杏寿郎ですが、最後の任務となったのが、あの無限列車でした。
猗窩座との戦いで炭治郎たちを守りその命を散らした杏寿郎。
その戦いぶりは涙なしでは語れません。
心の火をいつも絶やさずこの胸に。
母との約束を最後まで守りぬいた美しすぎる親子愛です。
感動のラストにうるっときてしまいました。
気になる方はぜひコミックスをご覧になってみてくださいね。
鬼滅の刃外伝煉獄杏寿郎 単行本内容まとめ
いかがでしたか?
以上、鬼滅の刃『煉獄杏寿郎外伝』のあらすじ・考察をご紹介しました。
杏寿郎は飲んだくれになった父を思い、弟を思い、そして母の言葉を胸に、煉獄家の長男として立派に勤めを果たしていました。
炭治郎もそうですけど、この時代の長男って我慢強い人が多いんでしょうか(笑)
あと、柱としては結構新参者だったことが意外でした。
本編でいったら蜜璃と小芭内と無一郎が後輩ってことになりますね。
すごく面倒見のいいお兄ちゃんキャラなので古株かとばかり思ってました…。
それはともあれ、蜜璃の恋の呼吸は炎の呼吸からの派生だったんですねー。
燃えるような気持ちから…ってことでしょうか。
まだ癸時代の蜜璃はまっすぐな刀を扱っていたことにも驚きでした。
あの薄っぺらくてひらひらした刀を扱うようになったのは柱になってからなんでしょうかね。
杏寿郎と蜜璃の素敵な師弟関係エピソードが見られて満足な作品でした。
ぜひ他の『柱』の外伝も期待したいですね。